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影響力が無いことの幸福とイベント参加

このブログは人が来ない。アクセス分析を見ても、ヘタウマや丸文字で検索して他にブログが無かったからこちらに来たと人が多いことがわかる。

自分もあまり良い記事を書かないことや、知っていても情報を出し惜しみしたり、あるいは記事を書いている途中で面倒になって投稿してしまうことがあり、その点は不甲斐なさを感じている。

しかしそのおかげというか、他の人たちのブログやツイッターなどとは異なり、極端な批判や中傷を受けることがないことは改めてありがたいことだと思う。コメントとトラックバックを付けられない設定にしていることも一因ではあるが、影響力が無いことで好きに書くことができるという皮肉な結果は以外と受け入れやすかった。

かつて自分も別のブログを開設していたときコメント欄にネガティブなコメントが書き込まれていたり、あるいは行きがかりの人と口論になったこともあり、結局そのブログは閉鎖した。今ネット上で人気のある人たちは本当に大変だと思う。ただ本人が楽しいから続けていることは自分も経験しているから理解できるし、あれはあれで楽しいのだからやめたくなるまで続ければ良い。


話は変わり、先日タイポグラフィの世界ーフォントの舞台裏ーを聴きにいった。話はオープンタイプの組版に関する処理の話が多く、デザインのことを聴きたかった自分としては予備知識も無いまま2時間がたってしまった。

座って聴いていた限りでわかったことは日本語の組版は複雑であること。フォント作成も大変であるなこと。会場には高齢の人も少なからず出席しており世代の広さを感じた。

講演会では日本語フォントを個人で作ることを推奨していたが、実際には部首ごとのデザインをして、それを表外を含めた漢字に自動的にコピーし、最終調節だけ人間が行うということにして、ベースラインや字面の調整もソフトウェアで自動修正されるようになれば可能かもしれない。

ひらがなだけならともかく漢字を含めてそれだけの作業をこなすには複数のソフトウェアが必要であり、規格はもちろん簡潔で統一されたものが必要で、なおかつ人間が一文字ずつ行っていた調整を代行してくれるAIも欲しい。という現時点での無理難題だが、10年もすればそういう時代も来るかもしれない。

9/16 表現改
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21 : 42 : 07 | 雑記 | page top↑

英語の勉強 ーGAMEFACEー

今後このブログで英語の記事を書こうかと考えている。

まったく日本人の不得意とするところの英語を苦労して習得しようなどという殊勝な態度に自ら感心してしまう次第である。

しかしながら、まず今回は慣れ親しんだ日本語[=この世界に類を見ない複数の文字種(とでも言うべきか)を使用した言葉]を使って書く。

下の動画の内容が大体聞き取れてきたので今回とり上げてみる。
GAMEFACE
http://www.youtube.com/watch?v=rxbzE_JAs3A

4分過ぎからのヤン・チヒョルトがヤン・チーコールトに聞こえたり、日本市場でxboxが売れないことを冗談めいた口調で語っているところなど、面白いのでは。

English Version

I’m considering to try to write articles in English from now.

I admire myself absolutely for my attitude to learn English which Japanese people are not good at.

But in this time, I write in what I'm used to - the unique language in the world using several kinds of characters -


The picked up video is below which I have been able to hear almost all of the lecturer's speech.
(same of the link above)

You may interest in hearing the word “Jan Tschichold “ as “Jan cheekawlt” and funny stories about selling Xbox in Japanese market.

2011.8.5 英語追記
20 : 06 : 09 | youtube | page top↑

PCキーボードのフォント

パソコンのキーボードを購入する機会があったのでフォントに多少注目しながら調べていたところ、面白い製品をいくつか発見した。

まずシグマAPOというメーカーのONYX(SCK88)という製品は、ゴシック全盛のキーボード界においてローマンを使用している。それも白黒ではなく色を使用しており、フォントの種類は注目していなかったためよくわからないがかなりおしゃれな雰囲気を醸し出していた。

次にエレコムの一部のキーボードはオリジナルフォントを採用していて印字が見やすいことがポイントだそう。そういわれれば見やすいような気がしてきた。

次に「印字なし」。キーの位置はもう覚えているよね、というヘビーユーザー向けの製品。複数のメーカーから販売されており、印字有りよりもすっきりしていて格好いい。キートップだけ印字なしに取り替えるパーツも販売されている。

フォントとは関係ないが、文字が光るロジクールのキーボードはよく売れているようだ。
[ 追記:ロジクールのキーボードには丸ゴシックを使用している製品が有る。]

これまで書いたことからもわかる通り、キーボードのフォントは注目に値する製品が少ないことが何となくわかってきた。キーボードはやはり機能重視、私が購入したキーボードも、結局ワイアレスで打ちやすいことが決め手となっており、フォントを気にして選んだわけではないし。

あるいはデザイン重視でもフォントまで凝らないということなのかなと、使用されている素材や、色・形の方が選ぶ側にとってはわかりやすいというのは確か。一方で、上記の特徴を持つキーボードはオーソドックスな色・形でも注目される。キーボードは何十種類も販売されているのだから、差別化としてもフォントに凝っていいんじゃないかなぁと思うところ。

また、美的な側面と文字の読みやすさを考慮するのであれば、文字の配置、いわゆるタイポグラフィ的な側面にもっと注目してもいいのではないだろうか。キーボードをざっと見てみると、文字が一瞬で頭の中に整頓されて入ってこないものがある。日本語キーボードやファンクションキーで別機能が使えるキーボードなどは印字が多くてとくにそうなる。

これだけ御託を述べながら、買ってきたキーボードを選んだ理由が「打ちやすさ」だった。書体が注目される時代はまだ先のようだ。

2011.8.13 追記
17 : 23 : 05 | 写植・フォント | page top↑

ゲームと書体

ゲームをめっきりしなくなって久しい私は、ふと動画投稿サイトでゲームプレイ動画を見ていたところ、なにやら文字の表現が面白いことに気がついた。

ゲームは色を変えられる、動かせる、拡大、縮小ができるなど、表現が多様である。さらに文字以外の映像エフェクトも多く、音も使える。ゲームの世界観に適合していれば、ゲームが遊びであるという特性上、文字も相当遊んでもかまわない。

漫画やアニメも良いが、どうもゲームほどインパクトが無い。それはゲームがインタラクティブなメディアであることが影響していると思う。つまり、コントローラーを使用して選択肢の文字を移動すると、文字の色が変わったり、拡大したり、同時に効果音が鳴ること。テキストを読むゲームでは、テキストが少しずつ表示されたり、あるいは声優が読み上げること。こうしたことが、文字の存在感を高めている気がする。

しかし一般的に書体や文字の話をするときにゲームの話題が出ることは少ないようだ。というか、ほとんどないのではないだろうか。もっとも、昔は読めればいい程度のひどくギザギザした文字を使用していて、書体とかフォントというレベルの話ができるようになったのはここ最近、PS2くらいからではないだろうか。あるいはその次の世代のゲーム機かもしれない。PCゲームはテキストの文字が小さく、フォントもいかにもテキストという感じがしていたが、近年はどうなっているだろうか。

いずれにしろ近年ゲーム機の性能も向上してきたことだし、他メディアでの文字表現はもう飽和状態なのでゲームに注目している。書体というと書体のみに視界が制限される傾向が有るが、書体やフォントにはそもそも言語的な意味が含まれず、表現活動との関連で存在意義が認められているのだから、媒体や使用対象についてもう少し注目するのも面白いのではないかと。

20 : 05 : 45 | 雑記 | page top↑

MACを買う。

買おう買おうと思い続けていたmacをようやく購入した。

本来はwinPCを買い替える予定で情報収集を進めていたが、macも調べてみると昔のイメージと異なり高くない。ウィンドウズも入れることができるということで、遅ればせながら手に入れた。

他人のMacを使わせてもらっていたときから感じていた違和感と操作への不慣れから買ってしまったことを一時期後悔していたが、WINPCの動作が不安定なので仕方なく使っていたところ2週間ほどで馴れ、今では毎日mac用ソフトと周辺機器を調べるのが趣味になってしまった。

WINDOWSと同じ使い方をしていると画面が何やらWINDOWSらしくなってきた。

でもフォントが違う。この欧文フォントは うーん、何とも。

キーボードがmac用ではないため、操作がよくわからない。ローマ字の大文字と小文字の打ち分けがわからない。そう思ってキーボードを探していたが、キーボードのキーに印刷されている書体の話題を耳にすることがほとんどない。これはビジネスチャンスではなかろうか。

まず考えられるのが女子高生向けにキーボードや携帯のボタンにかわいい文字をプリントするというビジネス。彼女たちはそんなことに消費してくれるだろうか。携帯ならしてくれるはず。メインのボタンだけなら12個程度なので、シールで100種類くらい出せば売れるはず。

でもシールだと嫌な感じかな。それに「この文字はヘルベチカっていうんだよ」と言って彼女たちにもてるだろうか。それ以前に女子高生好きじゃないし。

あとは、やはりデザイン重視のキーボード。ウェブ限定販売で、注文時に書体が選べるオプション。でもコストかかりそうだな~。ニーズも少なそうだし。

モニターも高性能で評判のメーカー製に買い替える。旧モニタとちがいデジカメの性能が一目瞭然だ。こういう色してたんだ。という。空気感まで表現している。良いものを使わないとだめだ。

19 : 09 : 43 | 雑記 | page top↑

庭園美術館へ行く

「20世紀のポスター[タイポグラフィ]」展を見に庭園美術館へ行く。

見ていて個人的には楽しめた。ポスターに興味がある人、あるいは画面構成に関心がある人は楽しめるかもしれない。文字に興味が無い人にはけっこう厳しいかもしれない。

ポスターという商業美術をアートと言い出したのはそれほど古い話ではないだろう。20世紀前半は商業美術は美術界で評価されていなかったと思う。これまで調べた限りでは、日本ではやっている当事者たちは芸術だと思っていたが、評価されていた訳ではなさそうだし、今でも評価されていないものもある。

巨匠として画集が販売されている有名な画家の中でポスターなどを書いていたのはミュシャやロートレックくらいしか思い浮かばない。商業美術となるとミュシャに絞られるか。

ビアズリーのイラストも同時代に評価されていたのだろうか。竹久夢二も美人画家だったが芸術家・美術家と評価されていたか。

ということで、街中に多様なデザインのポスターが氾濫している今日において、美術館にポスターを見に行くという行為がどのように受け止められるだろうか。時代の異なる外国のポスターといえど、いわゆる巨匠の油彩画を見る体験とは全く異なる。

ともかく、平日の午前中に行ったので美術系の学校の学生らしき人が数名いただけのガラガラで、ゆっくり見て回ることが出来た。

20世紀前半はとくにバウハウスのころの作品が展示されている。時代が進むとデザインが洗練されていくが、バウハウスの頃の文字の強い印象が消えていく。また文字のレイアウトも画面全体のなかでやけに整ってくる。

この展覧会を見ていて感じたことは、たとえるなら私の友人の話に近い。音楽好きの友人はビートルズやストーンズの頃のロックがロックでは一番好きだという。時代を経るとどんどん味付けされていき、味が複雑になるからだという。今はパンクを好んで聴いている。たしかにどのようなカテゴリーでも初期の作品はギターやドラムが素朴に主張しているが、時代が進むと1曲のなかの構成要素になっていく。

展覧会自体は満足。

余談になると、ガリ版を体験できる「ガリ版少年タイポ」というワークショップに応募するも抽選で落ちる。
抽選に落ちた後に講師の大原大次郎氏のサイトを見る。良いね。

ところで、このブログは文字に関するブログでありながらタイポグラフィ的な配慮を行っていませんが、デザイナーでもないしあくまで書体研究がメインですので悪しからず。
02 : 34 : 07 | 雑記 | page top↑

読書ノート・1

『文字の骨組み』

発売されてから間もなくの頃にこの本を買ったものの、当時は字体の本に興味を持てなくて積ん読にしておいた。最近たまたま本棚に目を移した時に気がついて読んでみた。

もっと早く読むべき本だった。この本の特徴は字体と書体どちらにも興味を向け、ページを割いていることである。大抵の本は字体と書体、どちらか一方しか扱っていない。字体の本を書くのは漢字が好きな人で、漢字好きは意外と書体に興味が向かないようだ。興味があるとしても書体ごとの字体の差異に視点が向かうらしい。

対照的に書体の本を出す人は印刷に興味がある人やデザイナー・編集者などで、漢字にあまり興味を示さないのか字体の話を取り扱わないことが多い。

だから字体の変化と書体の変化の関係について述べている本があまり見あたらないのだが、この本は両者の関係について丁寧に調べて書かれており大いに勉強になった。

『市川崑のタイポグラフィ』
「犬神家の一族」に使用されている明朝体を研究している。映画ファンでも読めそうなタイトルだが、中身はタイポグラフィに関する広範な記述と考察で占められているため、一般向けではない。

帯にはエヴァも、任三郎も、はじまりは犬神家だった。と書かれており、考察の結果、大正期の新聞広告との関係を指摘している。本文は推理物仕立ての構成で、読んでいて面白く内容も納得できた。

制作現場に居なければわからない技術的なことが書かれており、非常に参考になる。

「余談~近年の出版物の印刷について」

近年、出版物の印刷がぶれて文字がぼけているものを少なからず目にする。コスト削減の影響なのか何なのか知らないが、本は読める物を出してもらわないと困る。価格が下がらず質が落ちれば本離れするのは当たり前だろう。
19 : 17 : 09 | 雑記 | page top↑

書体概念が通用する時代区分

本ブログでは書体概念について思いつく所を記述しているが、個別の活字やフォントにはほとんど言及していない。その方面に興味がある方にとっては、「書体」というくくりでくくることに対して満足していない人もいるだろう。

一つの書体には何種類ものフォントがあるため、それを一つの書体として単純化して語ることで正確な分析ができるかという疑問がうまれる。この疑問はもっともなことであり重々承知している。しかしながら、これは文字の見方が異なるだけのことである。

もし共通の性質を持ったものを集合として扱えないのであれば、人間とか、性別、人種などといった概念を研究しているすべての学問は正しい結論を導き出すことができない。世間では人間・性別・人種といったある共通点を持つ個別の多様な人たちを一つの集団として理解したり、ある特性を持つ一般的な存在として人を理解し、その前提で語ることが認められている。

例えば人間について、人間は~な存在である。と定義した時、人間といっても子どもと大人は違う、あるいは人種・性別・国籍によってさまざまだから一概には言えないとすると、人間という普遍的な存在について何も言えなくなってしまう。しかし、実際には他の動物や植物、あるいは無機物と対比して人間を語ることが可能であり、また普遍的な「人間」を措定して語ることにも妥当性があると多くの人が考えている。

書体も「○○体は~」という発言は文字に詳しくない一般世間ではまかり通っている。文字に詳しくても大分類を「書体」とすることにはある程度妥当性があると考えている人は少なくないように感じる。したがって様々なフォントを一つの特徴でまとめて語っても問題はないと考えている。

ただ、実際に何かをデザインを創作する時には細かい差異が気になり、またその差異が力を持つ。それは多様なフォントが生産されているからだろう。

書体概念は明治以降の活版印刷により同じ特徴を持った一揃いの活字を使用するようになったことから広まったと今のところ考えているのだが、書体で文字を分類するのは写真植字の登場までが妥当かもしれない。写植以降はフォントが無数に作られ、上記の「書体」でくくることが適切なのかという疑問が生まれてきた。

具体的には、「書体」という枠組みで捉えれば、ウロコが丸い明朝体でも明朝体に分類され、線の一部が細くなったり太くなったりしているゴシック風フォントも、作った人・あるいは見る人がゴシック体と言えばゴシック体に分類される。だから写植が普及した後の書体に関する本には各書体の特徴を述べている本が少ない。「○○体は~だ」という書き方では適切に表現できなくなってきているからだろう。

だから各フォントや活字ごとに述べることが正確ではあるし、それに関しては専門家の人に任せればよいと考えている。ただこのブログでは、広い視野で書体を眺めてみると意外なことが発見できるかもしれないと思って調べている。仕事ではないから今後も自由に書いていくつもりである。


15 : 26 : 21 | 雑記 | page top↑

カタカナを考える①

日本語はひらがな・カタカナ・漢字・アルファベット等を織り交ぜて使用している。このうちカタカナは主に外来語を日本語表記することに用いられている。古くは漢文書き下し文に使用されていた。いまでも日本語に関する文章を読んでいると、まれに「漢字ひらがな交じりよりカタカナ交じりのほうがいい」という意見を目にする。

つまり、現在の「漢字ひらがな交じり」を楷書漢字(漢字)と草書字体漢字を表音的に使用した文字(ひらがな)との混用と考えると、「漢字カタカナ交じり」は楷書漢字(漢字)と楷書表音文字(カタカナ)となり、このほうがよいという意見になる。

個人的には、昔の格調高い文章や漢文書き下しの場合は、ひらがな交じりでは文の雰囲気がやわらかくなって気持ち悪くなる場合があり、編集者の方にはなんとか気を遣って頂きたいところである。旧字体の作品は旧字体で、カタカナ交じりのものはカタカナでやってもらわないと、別の作品になってしまう場合もあるので。

カタカナの他の用法には、文末にのみ使用されることがある。例えば、こんな感じデス。この表記が流行していた時代もあった。今でも一部の週刊誌や漫画、ネットに見られる。

このような表記に関する研究は勉強不足のため読んだことがないが、明治時代の文献を見ていると「てにをは」を中心に、ひらがなとカタカナを混用している文が少なからず見られる。

カタカナは、明朝体と共に用いられるときには筆で書いたような書体を使用している明朝体と同じ特徴で設計すると美しくないことや、漢字と紛らわしいことなどが原因と考えられる

前者の問題に関しては、美しく作ればよい。後者の問題は、ゴシック体では同じ特徴の線(直線的で、線の幅がほぼ一定(両端が太くなる場合あり))で設計しているが、漢字との判別が困難ではないので、明朝体でも工夫すれば不可能ではないだろう。

しかし明朝体に合うカタカナは開発されておらず、筆文字のような書体で定着しているところを見ると、どうやら読者も開発者もこれでよいと考えているようである。

明朝体も筆で書かれた文字の特徴があるため、カタカナも同じ特徴を残しておくほうが視覚的な違和感が無いのかもしれない。

ではゴシック体の漢字と共に使用する
アンチックはどうか。ひらがなは理解できるが、カタカナはどうか。

続きは後日。


2010.7.16 改

23 : 44 : 11 | 雑記 | page top↑

丸ゴシック体を考える①

丸ゴシック体は(角)ゴシックの線の両端を丸くした書体であり、ゴシック体の到来以前から日本には似た特徴を持つ篆書体が既にある。古い本には角ゴシックの角を嘗(な)めた文字とも書かれている。

『フォントスタイルブック2008』を見た限りでは、欧文では丸ゴシック体と同じ特徴の書体があまり無いようである。アルファベットの両端を丸くすると丸さがきわだってしまうことが原因だろうか。

美術の方面では曲線的なアルファベットも使用されている。19世紀末にアール・ヌーボーが流行し、ほぼ同時期か少し遅れて日本にも流入している。フランスで活躍したアール・ヌーボーの代表的イラストレーターであるアルフォンス・ミュシャの絵画などには曲線的な図案文字が使用されている。

下の図は大正時代の広告である。活字ではあまり見られないものの、図案文字では丸ゴシック風の文字が少なからず見られる。
仁丹1916
 1916 仁丹の広告

日本では西洋の図案文字の影響よりも、図の字体から伺えるように篆書の影響が強いらしい。1935年の『大辞典』には篆書体を連想させる字体の丸ゴシックの図がある。また一部の活字見本帳で篆書体の前後に丸ゴシック体の頁がある。『活字に憑かれた男たち』に掲載されている戦前の活字見本らしき図にも丸ゴシック篆書体とある。

篆書体を連想させない丸ゴシックもある。大正・昭和初期の町中を撮影した写真には丸ゴシック体を使用した看板も写っている。これらの多くは明朝体とほぼ同じ字体であり、篆書体のように曲がってはいない。

昭和初期は丸ゴシックは角ゴシックほど使用されてはいなかったようである。1930年頃の資料では、丸ゴシック体活字は大阪では多く使用されていたが、東京では電話番号くらいにしか使用されていなかったという(a)。

戦後は丸ゴシックが多用されるようになる。国鉄の看板が丸ゴシックに変わり(b)、テレビのテロップにも丸ゴシックが使用されるようになる。その理由として以下のようなことが考えられる。

・敗戦後に進駐軍が角ゴシックの看板を立てたことで(b)、ゴシック=進んでいる、のように考えられたか。
・謄写印刷で書かれる文字が、場合によって丸ゴシックに見えることから目が慣れた。
・図案文字のような装飾性があり、なおかつ読みやすい文字を求めた結果、丸ゴシックに行き着いた。
・戦前から丸ゴシックを使用していた関西出身のデザイナーなどが東京へ進出し、メディアの東京一極集中と相まって全国に広まった。

(a)アトリエ社編『現代商業美術全集』第17巻 アルス 1930 p50
  長岡逸郎『チラシ廣告の作り方』同文館 1934 p37
(b)佐藤敬之輔『日本字デザイン』丸善 1959 p244


2010.5.24 一部改
2010.5.25 〃
14 : 52 : 28 | 丸ゴシック体 | page top↑
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